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温暖な気候のもと、山と海、湖、温泉、里山、そして賑わいの街――すべてがそろう神奈川県には、おいしいものがたくさんあります。全国区で名を馳せるものも数多くありますが、意外に知られていない名品もたくさん。そこで、神奈川新聞社や神奈川県観光協会のネットワークを駆使して、あらためて「おいしいかながわ」を探検することにしました。エリアごとにご紹介していきます。

 

 

 

<秦野編>

県中央部、丹沢山系の麓に広がる秦野。水が豊かな地域として知られ、温暖で霜が降りることも少なく、年間を通して多種多彩な野菜や果物が栽培されています。

 

 

 

 

 

高梨茶園


 

 

 

 

 

 

 

里山が育む香り豊かな丹沢遠山茶

 

秦野は丹沢山系の麓に広がる水の豊かな土地です。かつてはたばこの栽培が盛んで、全国でも有数の産地でした。高梨茶園の初代高梨伊助さん、二代目の弘さんもたばこの栽培に従事していたそうです。しかし、高梨さんの畑は、秦野市でも最も北部の山裾で、夏は雨が多く、冬は丹沢おろしが吹くなど気象の変化が大きく、たばこ栽培には苦労がありました。そこで始めたのがお茶の生産です。たばこには不向きだった夏場の適度な雨量と吹き下ろす風、そして250mほどの標高が、香りのよいお茶ができる好条件だったのです。昭和30年代の初めから本格的に取り組み、今は4代目の晃さんが中心となってお茶づくりを続けています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3ヘクタールの土地で9品種を育てる

 

お米やイチゴに様々な品種があることはどなたもご存じでしょう。しかし、お茶にも多くの品種があるということはほとんど知られていません。「一般に飲まれている緑茶の7割ほどが『やぶきた』と呼ばれる品種で、バランスのとれた味と香りが特長です。でも他にも、『はるみどり』と呼ばれる渋みが少なく、旨味・甘みが豊富で香りの良いものとか、『さえみどり』という名前の渋みが少なく旨味・甘みが強い品種とか、いろいろあるんです。高梨茶園では、9品種を栽培して、自社で製茶し販売まで行っています」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツで開かれた食品見本市に出展

 

晃さんは、2018年11月から12月にかけてドイツの新ミュンヘン国際見本市会場で開かれた食品の展示即売会FOOD&LIFE 2018に、日本から出展しました。秦野の小さな茶農家の参加はかつてなかったことです。きっかけになったのは、この数年前に、ドイツ在住の日本人女性が、たまたま帰国したときにデパートの催しで高梨茶園のお茶のおいしさを知り、ドイツで販売したいと声を掛けたことでした。晃さんも喜んでその依頼を受け、ドイツの高級レストランなどへ試験的に出荷したところ好評で出展につながりました。会場で初めて日本の煎茶を味わった現地の人からの評判も上々だったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お茶を愉しむ文化を育てたい

 

今、高梨茶園では、晃さんが中心になって、お茶を愉しむ文化を広める活動を展開しています。「緑茶は本当に身近すぎて、もう一歩深く愉しもうという人が少なくなってしまいました。他方で、抹茶の世界は少し敷居が高いですよね。緑茶を、喉の渇きを癒やすためではなく、味や香りをじっくりと愉しむものにしたい、そのためにも多品種を育てて、様々な味わいをご紹介していきたいと思います」。その一環として、一般の人にもぜひ茶園に足を運んでいただけるようにしたいという晃さん。「お茶のいれ方教室」や収穫後の「手もみ茶体験会」など、様々なイベントを企画しています。お茶の奥深い世界に触れてみませんか?

 

 

 

 

高梨茶園

〒259-1302 神奈川県秦野市菩提1387

0463-75-1104

営業時間 午前9:00~午後5時

http://www.takanashi-chaen.com

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