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農林水産省が令和3年度からスタートした、生産・加工・飲食・観光等の多様

 

な事業者の参画により持続可能なビジネスモデルを創出する「ローカル・フード・プロジェクト(LFP)」。

令和5年度、神奈川県では、県西地域で活用されていない農林水産物を活用したグルメ開発を通じて県西の魅力を発信、プロモーションする取り組みが行われており、この取り組みに神奈川大学の学生が参加しました。

参加した学生は、起業や世の中に変化をもたらすことを志向する学生コミュニティ「チェンジメーカーズコミュニティ(CMC)」の有志6名。

8月28日に小田原市水産市場内会議室で開催された第1回目のワークショップでは、事務局から同プロジェクトの狙い、目指すことについての説明がなされたあと、参加者全員でまずは市場内を見学しました。

 

 

 

 

 

 

小田原が面する相模湾は、日本三大深湾の一つ。日本に約4,000種の魚がいるといわれている中、そのうちの4割にあたる約1,600種類の魚がいるといわれています。沖に出るとすぐ水深1,000m以上の深さとなり、潮流や箱根丹沢山系から流れる河川水が栄養をもたらしていることも多種多様な魚介類が生息している理由の一つとのことです。

ただ、小田原といえば何の魚が有名なのか?というイメージを作りづらく、観光客としても“小田原の魚”を目的としているケースはまだ少ない現状。日本人の魚離れもあり、魚の消費量も減少する中、比較的安定的に供給されるマグロやサーモンなどに押されて、小田原漁港でとれるさまざまな見慣れない魚は売りづらい状況です。

さらに小田原の漁場で主流な定置網漁業で獲れるサイズが小さい等の理由で食利用されない「低利用魚」が多く存在すること、相模湾の環境の変化による漁獲量減少などの課題が顕在化しています。

一方、小田原の漁場は、水揚げから売り場にでるまでの時間が短く新鮮な魚が提供されるという特徴があります。

今回のプロジェクトは、これらの現状を踏まえ、低利用魚の活用による付加価値の増大、魚食普及とともに、地域の魅力発信、移住促進や地域住民の定着などを狙いとし、新たな商品、サービス等のアイデア創出、開発を行うものとなっています。

見学後は、チームに分かれてどのような商品、サービスがあったらいいかをディスカッション。参加者は、地元で飲食店経営を行う方、生産者、漁業組合、自治体関係者、高校生など属性はバラバラ。だからこそ忌憚ない意見が交わされます。県西エリアの地の魅力をキーとしたアイデア、新鮮さを売りにした体験イベントなど活発にアイデアが出されました。

 

 

 

 

 

学生たちは、当日を迎えるまでの間、個人でフィールドワークや机上調査を進め、県西エリアの課題と地域活性に向けた解決策を見据えながら、メンバー間でミーティングを積み重ね、3つの商品開発のアイデアを検討し、当日プレゼンを行いました。

  • ペットのおやつ

ペットが家族・子供と近い考え方をもつ人が増えてきた昨今、ペットにやさしい街としてのイメージづくりはどうかという提案。健康に寄り添ったペットのおやつを継続的に購入していただくことを目的とした商品や、空地を活用したドッグランやペット交流イベントなどを企画が盛り込まれました。商品開発のみにとどまるのでなく、街の新たなブランドイメージの構築と無駄のない街づくり、実際の来街のしかけを念頭においた提案となりました。

未利用魚を使ったペットフードの商品開発やペットの健康に着目して継続的に購入してもらうよう工夫された販売方法のほか、空き地を活用したドッグランやペット交流イベント企画などが盛り込まれた提案となりました。

  • ごはんのおとも

小田原=魚がおいしいというイメージにあわせ、魚本来の味や魚の良さをそのまま出せるものとして幅広い年齢層にニーズのある「ごはんのおとも」を提供するのはどうかという内容。パッケージにこだわり低利用魚を全面に出したサステナブルな商品として小田原で集客力のあるスポットに展開する形として提案された。

「ごはんのおとも」として魚本来の味や魚の良さをそのまま出せる「ふりかけ」の開発や、「低利用魚を活用したサステナブルな商品」「魚がおいしい小田原」を前面に打ち出すパッケージデザインにしたPR展開案が提案されました。

  • 街歩きサブレ

情報拡散力の高い10~20代の女性をターゲットに、旅先らしいお土産、街歩きをしながら食べたくなるもの、そしてSNSでつい投稿してしまいたくなるものとして考案。街歩きをコンセプトとすることで、若い世代の来街を狙い、観光産業の促進も視野に入れた提案。SNSへの投稿イメージとして、実際に学生が作ったサブレのサンプルも併せて紹介されました。

SNSの拡散がされやすいように、情報拡散力の高い10~20代の女性向けに街歩きをコンセプトについつい投稿したくなるサブレを、実際に学生たちがサブレを作って提案されました。

 

 

 

 

地域の特色を生かしたお土産ものは全国でさまざまなものが開発されています。そのような事例も調査しながら、小田原の地を実際に訪れ、観光需要の創出や若者の移住・定住を狙ったアイデアとしてこの3点の発表に至ったと学生は話します。

 

 

 

 

発表を聞いた参加者からは、「これまで考えつかなかった視点だった」「若い世代が実際に買いたいと思うニーズに合ったものを開発せねばと感じた」など多くの気づきがあったようです。ディスカッションでは、学生の提案を参考に各チームで案を出し合い、取りまとめたものを全員で評価しました。

 

 

 

その後9月15日に開催された第2回ワークショップにおいては、小田原地魚大作戦協議会から提案された小田原の多様性を活かした地魚加工食品の開発や、観光ツアー、市内学校への食における出前講座などの案が神奈川県から採択され、実施に向けた取り組みがスタート。2024年春のクラウドファンディングに向け、商品・サービスの具体的検討が行われています。

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