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小田急線の伊勢原駅よりバスにのること約25分、大山阿夫利神社への玄関口である大山ケーブルバス停へ到着。ここより「こま参道」を歩き、展望の開けた景色を楽しめるケーブルカーに乗り継ぐと、阿夫利神社下社へと辿りつきます。

 

 

大山阿夫利神社下社 境内からの眺望も素晴らしい

 

 

大山は古くから大山阿夫利神社や大山寺への参拝客で賑わい、江戸からも「大山街道」を通って大勢の庶民が足を運び、神社や寺への参拝客はお金を出し合って「講」という組織を作って訪れ、宿坊に泊り先導師とともにお参りに向かいます。

先導師は、江戸時代、関東一円の村々を廻り布教活動を行って信者を増やし、宿坊を営んでいました。現在も、宿坊は変わらず「講」の受入れを続けるとともに、個人や団体の登山客、観光客の宿泊施設として現代の大山詣りをささえています。

 

 

江戸時代の大山詣りを今に伝える像=大山阿夫利神社下社

 

 

そんな歴史を持つ大山の名物はとうふです。江戸時代、爆発的に伸びた参拝客に提供するため、冷水で保存できるとうふはとても都合の良い食べ物だったことが背景にあります。

また、良質な水によっておいしいとうふを作れたこと、水分を多く含むとうふは、登山時の水分補給にも役立っていたことなどが、とうふ文化が発展した理由とのことで、

とうふが今に伝わる名物になったのも必然だと感じました。

 

 

小川家 豆腐懐石の一品。四季折々のとうふ料理が楽しめる

 

 

今回、「食事処小川家」の小川惠巳さんに話を聞きました。

小川家は「何代前からあるのか分からないくらい」古い歴史を誇る宿坊で、以前は宿泊も行っていました。しかし10年程前から宿泊をやめ、登山客への料理を提供する形に業態を変更しました。

当日お伺いした時には、湯豆腐、揚げ出しどうふなどさまざまな料理を味わうことができ、とうふという素材だけでこれほどまでに多彩に展開できることに驚きました。

また、野菜も地産地消につとめ、地元で完結しているとのことです。

 

 

長い歴史を誇る「とうふ処小川家」。かつては宿泊も行っていた

 

 

 宿坊という形での存続は徐々に難しくなってきていた30年ほど前、小川さんらはとうふの魅力を伝えるために「大山観光青年専業者研究会」という組織を立ち上げ、「大山とうふ祭り」などを手掛けました。「大山とうふ祭り」は、約4メートルの大鍋で湯豆腐をふるまう「仙人鍋」や手造りとうふ体験などが評判を呼び、伊勢原・大山の一大イベントに発展しました。しかし2023年、コロナ禍を経て4年ぶりに開催された第30回をもって、区切りをつけることになりました。

「(主催者側の)高齢化が進み、イベントを自前で仕立てるのも難しくなってきたこと」が主な理由とのことでした。

 

案内所の中に掲示されている「大山とうふまつり」のポスター

 

 

宿坊や食事処も、後継者不足の影響で減少傾向に。とうふを作る店も現在は2店舗になってしまいました。

 

 

362段の階段がある「こま参道」。繁忙期には多くの観光客がここを登っていく

また、「昔の大山詣りは7月~9月に参拝することが多かったけれど、今は紅葉(11月)、正月の時期に集中していて7~9月は閑散期になっている」。この7月から9月にどうやって客を呼び込むのかが課題になっています。加えて、紅葉と正月時期のオーバーツーリズムにどのように取り組んでいくかも今後考えていくべきだと仰っていました。

「地元大学との連携で、学生にこま参道入口案内所のスタッフをお願いするなどして、少しでも若い人に大山やとうふに興味を持ってもらえれば」と話していました。

「とうふ処小川家」の小川惠巳さん。大山の歴史や現状、未来を語っていただいた

今回実際に大山まで足を運び、歴史的背景や大山とうふの成り立ち学んだ上でいただいたとうふは、今まで食べたとうふとは一味も二味も違った唯一無二の美味しさでした。まず、とうふを主とした料理を今まで食べたことがなかったため、とうふという食材がこんなにも幅広く料理に使用されていることに驚きました。加えて、とうふだけでなくそのほかの食材も地元で採れたものを使っていることで、食を通じた地域との繋がりをより深く感じました。古くから多くの人々が参詣し、そこでいただいていたとうふが現在まで受け継がれていることは偶然ではなく必然であったことを、お話を伺った中で知ることができました。

今回大山に行って学んだ食、歴史、地域などといった様々なつながりという視点を、今後の国際文化交流学科としての学びに活かしていきたいと思います。

おいしいかながわ探検隊 神奈川大学国際日本学部 3年 笠井 咲良

 

私は今回初めて大山を訪れて、大山阿夫利神社と大山とうふの深い関係を学ぶことができました。ルーツを辿ると江戸時代まで遡り、今でも「講」や「先導師」の文化を受け継いでいることに驚きました。大山とうふの名を広めた小川さんのお話はどれも貴重なものばかりで大変勉強になりました。そして様々なとうふ料理は私が今まで食べたことのない、なめらかでおいしいものばかりでした。自然豊かで水の綺麗な大山と大山とうふに対する小川さん熱い気持ちが合わさることで、このようなおいしい大山とうふ料理をいただくことができるのだと感じました。

大山の魅力をもっと知ってもらうこと、次世代にこの大山とうふを受け継いでいくことが大切だと思いました。今回の貴重な経験を活かして地域の歴史とまちづくり、文化の伝承の課題についてもっと知識を身につけて先代が創り上げてきたものを残していきたいです。

おいしいかながわ探検隊 神奈川大学国際日本学部 3年 安澤 歩生

 

 

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