「産学連携プロジェクト」は、県内の食の事業者が抱える課題を学生と事業者が一緒になって解決に取り組むプロジェクトです。
6月に始まったこのプロジェクトは、神奈川大学経営学部知花ゼミの学生たちが足柄上郡大井町の棚田保全の活動に参加したことから始まり大井町の活性化に向けた提案へと発展しました。9か月にわたる取り組みを紹介します。
足柄上郡大井町の高尾地区は環境にも恵まれ農業がとても盛んな地域でしたが、20年ほど使われずにおかれた棚田がありました。長く放置された水田は土や用水路が荒れ、やがて耕作放棄地になっていました。古来の風景を取り戻そうと高尾棚田保存会や井上酒造をはじめとする地元の有志が集まり、棚田を復活させ水もお米も醸造もすべて大井町で行う100%大井町産の純米酒「夢高尾」を醸造する取り組みが始動。「食」と「農」をテーマに学ぶ知花ゼミの学生たちが、この活動に田植えから参加しました。
慣れない作業に悪戦苦闘
実家が田んぼを持っていて毎年のように田植えや稲刈りを手伝っていた経験を持つ学生もいましたが、ほとんどの学生は初めての体験でした。靴下や素足で田んぼに入って行う作業に悪戦苦闘しつつ、田植えに励みました。
作業には大井町役場の方をはじめ小田町長も参加し、農業の担い手不足や大井町の現状を聞きながら学生たちは慣れない作業に汗を流しました。
後日、保存会の藤澤代表やこの活動に参加する機会を与えてくれたトヨタモビリティ神奈川(神奈川トヨタ自動車)から大井町の現状や活動を支援する意義(※)などお話しいただき、学生たちの活動は大井町の活性化に向けたアイディアの創出へと進みます。
※トヨタモビリティ神奈川(神奈川トヨタ自動車)は地域の文化を守り、人と人のつながりを広げていこうと県内13の蔵元と連携した酒蔵応援プロジェクトを行っています。
大井町活性化に向けた提案
学生たちは「食」「農」「つながり」「ひと」の4テーマから大井町を活性化できないかと考え調査し、「若者の新規農業従事者の獲得」や特産品として作られている「フェイジョア」の活用、「移住、定住の促進」、食と農を中心とした「つながりの強化、拡大」について提案。 大井町役場の方からはSNSやアプリの活用など参考になるアイディアとともに大井町に対して感じた率直な意見を聞くことができた、それらの声を参考にしながらこれからも大井町のファン増加につながる取り組みを行っていきたいと話していました。
知花ゼミは23年度も棚田保存の田植えに参加する予定です。