
神奈川大学の学生が、キラリと光る「おいしい」を求めて県内各地へ出かけ、地産地消への思いなど、「おいしい」をテーマにレポートします。今回は、酪農からアイスの製造・販売までをワンストップで手がける「小田原牧場アイス工房(小田原市曽我別所)」にお邪魔しました。、全国的にも有名な「曽我梅林」の傍らで地域の豊かな観光資源を生かしながら取り組む〝ワンストップ〟の取り組みをご報告します。
曽我梅林の傍らに佇む「小田原牧場アイス工房」。壁面は紅梅色
探検隊がお邪魔した「小田原牧場アイス工房」は、戦後間もない時期から続く市内酪農家3代目の志澤栄治社長らが共同経営で設立したアイス製造・販売施設です。全国的にも有名な曽我梅林の傍らに佇むこの場所で、各地から訪れる観光客らにアイスを販売する事業を営んでいます。
シングル400円、ダブル500円(税込) (金額は2025年3月1日時点 ※一部商品除く)
50頭ほどの乳牛を飼育する市内郊外の牧場で一日およそ1400㍑の採れるミルクのうち、200㍑をその日のうちにアイスに加工し販売。「梅」や「足柄茶」、「キウイ」など、地元の名産品をふんだんに使った商品の人気は高く、1日2000個が販売されることもあるそうです。年間を通じ「おいしい笑顔」があふれる、小田原の新たな観光名所として人気を博す注目の事業者です。
地元貢献にもつながる〝地元食材〟
同店の志澤栄治社長(左)、と高橋店長(右)
梅や足柄茶など、小田原ならではの魅力的なフレーバーの商品開発は、どのように行われているのか?同店舗で店長を務める高橋美穂さんにお話を伺いました。
「曽我梅林に隣接する同アイス工房での売れ筋は、やはり梅酒味。その他にも小田原の隠れた特産物である「キウイ」を使ったフレーバーなど、オンリーワンの商品開発を続けています。訪れていただいた方に〝おいしく楽しい体験〟を提供し、リピーターとして、また戻ってきていただきたいという思いで、日々の製造、販売を続けています」
小田原は江戸時代から、みかんが多く栽培されている地域でした。しかし、酸味と甘味のバランスが特長の小田原みかんは近年の〝糖度重視〟の消費者嗜好の変化から、生産が縮小傾向。キウイ農家へ転身する農家が出てくるなど、今ではキウイが小田原の〝隠れた特産品〟となっているそうです。
この〝隠れた特産品〟を地産地消食材としてアイスフレーバーに採用することには、「地元ブランドのアピール以外の面でも利点がある」といいます。
「形が悪かったり熟れすぎていたりと、市場に出すことが難しいB級品をフレーバーの材料に採用しています。B級品は熟れて甘く柔らいという点で、ジェラート作りに最適な素材なのです。安価に仕入れられる分、安価にアイスを提供できることにも繋がっています」
小田原のPR、連携事業による地域貢献も
小田原アイス工房所有のキッチンカー。週末を中心に県内外に出張販売
地域食材を使った季節のフレーバーの1つに「栗」があります。栗は皮むきに時間がかかるため、加工に大きな負担がかかってしまうという経営的課題を抱えていました。そこで、2022年から地元の障碍者就労支援施設に参加してもらい、栗の皮むきをお願いする農福連携事業をスタート。「栗味は人気商品の1つ。おいしいジェラートづくりの貴重な戦力として、アイス製造事業に貢献いただいている」といいいます。
また、同工房では2台のキッチンカーを保有。土日を中心に近県まで赴き、ジェラート販売を行い、事業拡大への取り組みを進めています。
「アイス工房が立地する観光の街・小田原に足を運んでもらうため、観光協会など行政とも連携しながら〝小田原食材をふんだんに使った小田原アイス〟の普及に取り組んでいます」
さいごに
ショーケースの前で探検隊の3名と高橋店長(右)
本取材を通じ、同工房が「おいしいアイスを供する事業者」にとどまらず、「食を通じ地域内外の人々を繋ぐ」という一面をもつ事業であることを知りました。
笑顔でアイスが食される背景には、生産者の思い、人の繋がり、経済的な狙いなど、様々な側面があることに気づきを得た貴重な体験となりました。
おいしいアイスで頭と舌を冷やしながら、大学の経済学部での勉強にも取り組んでいきたいと思います。また、お邪魔させていただきます!
(おいしいかながわ探検隊 神奈川大経済学部1年 坂下雅楽)
小田原牧場アイス工房の前方には、富士山を背景に約35,000本の梅が咲き誇る曽我梅林があります。食用梅の生産が目的のため、その殆どが白い花の白梅になっています。毎年2月頃になると梅まつりが開催され、約20万人の人で賑わいます。(曽我別所梅まつり観光協会ホームページから引用)
梅まつりに訪れた人は小田原牧場アイス工房でジェラートを食べる人が多く、梅まつりの時期は特に梅酒味が人気だそうです。曽我梅林を訪れた際には是非、美しい梅と富士山を背景に絶品ジェラートを食べてみてください。
(実際に食べてみて)小田原産のキウイを使用したジェラートはキウイの味が濃く、濃厚かつさっぱりとしていて絶品でした。地元の特産品をふんだんに使用することで新たなおいしいを見つけ、食べる人々にとって、特産品の美味しさを楽しめる素晴らしい体験となっていると感じました。
(おいしいかながわ探検隊 神奈川大学外国語学部一年 木下公麗)
実際に牧場見学もさせていただき、ずらりと並ぶ乳牛の中にはまだ8カ月の子牛や、お産を控えた牛など多くの牛がいました。その中でも顔や体つきが良い牛は、これから行われる全日本ブラックアンドホワイトショウ(主催 セントラルジャパンホルスタイン改良協議会)に参加する予定と仰っていました。実際に近くで餌やり体験をさせていただくと、確かにつぶらな瞳がかわいらしく綺麗な牛さんでした!この牧場では餌に牧草の王様とも呼ばれる、栄養価の高いチモシーを利用しているそうです。また、この牧場での作業は3人で行われているとお聞きし、決して多くない人数での“ワンストップ”の取り組みの大変さをより実感しました。その上でアイスをいただいたため、よりこのアイスへの愛着が湧き、おいしさを感じることができました。私たちがアイスを食べている際の社長の笑顔を見て、「アイスを通した人との繋がり」を本当に大切にしているのだと感じ、国際文化交流学科として「食」という側面から人々が交流し、繋がるという魅力を発見することができた貴重な経験となりました。
(おいしいかながわ探検隊 神奈川大学国際日本学部3年 笠井咲良)